簿記論

棚卸減耗損及び商品評価損

棚卸減耗損は、帳簿棚卸高と実地棚卸高との差額によって計算されるものなので、商品保管中の紛失や目減りなどの量的な減少によって生じるものです。

 

帳簿棚卸高は、商品有高帳の記録によって把握することができます。

 

しかし、紛失や目減りまたは盗難による商品の減少は、決算時に実地棚卸をしなければ把握できません。

 

したがって棚卸減耗損の計上は、決算手続として把握されることになります。

 

棚卸減耗損は、原価性が認められる部分は売上原価の内訳項目または販売費とし、原価性が認められない部分は営業外費用または特別損失として損益計算書には表示されますが、簿記の手続上は売上原価に含めない処理をします。

 

商品は原則として取得原価によって評価されますが、市場価格の低落による低価法・強制低下法の適用、品質低下・陳腐化などを原因に、原価より低い時価で商品を評価した場合に生じる、原価と時価の差が、商品評価損です。

 

商品評価損の簿記処理は、棚卸減耗損と同様の方法によりなされます。

 

棚卸減耗損は、原価×(帳簿棚卸数量−実地棚卸数量)によって算出され、商品評価損は、(原価−時価)×実地棚卸数量によって算出されます。