簿記論

リース取引の意義と分類

「リース取引」とは、特定の物件の所有者たる貸手(レッサー)が、当該物件の借手(レッサー)に対し、合意された期間(以下「リース期間」という。)にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は合意された使用料(以下「リース料」という。)を貸手に払う取引をいう。

 

と「リース取引に係る会計基準」(以下「リース会計基準」と略します)の一では定義しています。

 

リース取引とは上記定義の通りですから、借手にとっては、通常の貸借取引のように、貸借されたものの貸借料を払えばいいのですが、特別に問題がないように思えます。

 

 

ところが、たとえば同じ規模のA社・B社があり、同じ機械装置を、A社は資金を借り入れて購入し、B社はリース取引を行ったとします。

 

両社の財政状態を考えますと、A社は、固定資産が増えますが、固定負債も増えますので、資産・負債の増えないB社より負債比率や総資本利益率などの財務比率が悪化します。

 

またリース取引の中には、リース会社が取り揃えてある物件を貸借するというだけではなく、特定の借手のために特定の物件を購入して貸し与える、あるいは、借手が購入した物件を貸手であるリース会社にいったん売却してから当該物件のリースを受ける(セール・アンド・リースバック取引)というものなど、実質的にはいわば借手が自分で資金を調達して購入したようなものとみなせるものがあります。

 

こうなりますと単なる賃貸借契約という法的な形式に従って会計処理をしていたのでは、経済的実体を表さなくなってしまいます。

 

殊に賃貸借取引として処理した方が、財務比率がよくあらわされるとなりますと、適正な表示、実態の開示というディスクロージャーの面で問題が大きいのです。

 

したがって、リース取引といっても法的形式どおりに賃貸借取引である場合と、賃貸借取引を装っているけれども実質は売買取引と同様の状態である場合があります。

 

リース取引においてなすべき会計処理からリース取引の分類を見ますと、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うべきリース取引はファイナンス・リース取引というものであり、それに対して、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うものはオペレーティング・リース取引といわれるものです。