３分法
3分法は、商品の勘定処理についての分記法の欠点を解決するために、仕入勘定(費用勘定)、売上勘定(収益勘定)、繰越商品勘定(資産勘定)の3つの勘定を用いるものです。
商品を仕入れたときは、商品の取得原価をもって仕入勘定の借方に記入します。
商品を販売した場合には、売上勘定の貸方に売価をもって記入します。
繰越商品勘定は、その借方に前期繰越高(期首商品棚卸高)が記入され、決算処理の段階で売上原価の計算をするまでは新たな記入はされません。
この方法では、分記法でみられた記帳の煩雑さや、総記法での勘定の不明確さも解消でき、総額表示の要請にも応えることができる長所をもっています。
次に商品の売買にともなって生じる、いくつかの注意点を説明します。
その第1点は、商品購入のために要した引き取り運賃などの付随費用です。
商品を仕入れるこは、引き取り運賃・保険料などの費用がかかり、これらは仕入諸掛りまたは仕入副費といわれます。
これらは、原則として商品原価に含めます。
販売の際に生じた運賃や荷造費などの売上諸掛りは、それが販売側が負担する場合には、発送費という費用勘定を設定してそこに記入し、売上勘定には関係させないようにします。
第2は、仕入れた商品が傷んでいたり、品違いがあったために、返品した場合や、それらが原因で値引きを受けた場合の処理です。
このようなときは、仕入の取り消しや仕入原価の減少にあたりますので、その額を仕入勘定の貸方に記入することになります。
第3は、販売した商品の返品を受けたり、値引きに応じた場合です。
これは、売上の取り消しや売価の減少にあたりますので、売上勘定の貸し方に記入することになります。
第4は、一定期間中に、特定の金額または特定数量以上の商品の売買実績があった場合に、その取引総額の一定割合にあたる金額を販売側が仕入側に免除する割戻し(リベート)の処理です。
これらは、上記の値引き・返品の場合と同様にそれぞれの勘定から控除すように処理します。